プログラム
※スケジュールおよび会場が変更となっておりますのでご注意ください。
講演
講演1
- 『プライマリ・ケアの愉しみと生涯学習』
- 藤沼 康樹先生(家庭医療学開発センター センター長)
要旨
なぜ家庭医としてプライマリ・ケアに従事しているかと問われれば,日本のヘルスケアシステムにおける将来像と関連した家庭医としての意義について,いくらでも語ることができる。しかし,そもそもその仕事が「面白い」「楽しい」と感じなければ続けることはできなかっただろうという思いがある。
今回の発表では,プライマリ・ケアと家庭医療に関して,なぜそこに惹きつけられるのかというお話をしたい。テーマ系として,3つ取り上げ,通底するテーマとしての生涯学習との関連も解説する。
- Joy of Diagnosis:医師であるかぎり,臨床推論や診断にまつわる話にはいつも興味があるが,プライマリ・ケアにおいてもそれは例外ではない。ただし,プライマリ・ケアにおけ診断プロセスは,内科を始めとした多領域の専門科とはその特性を異にする。
- Joy of Transprofessionalism:プライマリ・ケアにおける多職種連携は在宅医療にとどまらず,常に中心的なテーマであるが,地域住民との連携というテーマが地域包括ケアの時代においては重要になってくる。いわばInterprofessionalismからTransprofessionalismへの移行の時代である。
- Joy of Family Medicine : 質の高いプライマリ・ケアを効率的,効果的に公平に地域住民に提供するために資する学問分野としての家庭医療学は,プライマリ・ケアに従事する医師にとっての基盤となる知的分野である。家庭医療学は,領域横断的で,従来の医学研究分野とはことなり,実装科学(implementation science)などが重要となる。家庭医療学の知的な面白さを紹介したい。
講演2
- 『在宅で行うリハ・栄養』
- 若林 秀隆先生(横浜市立大学附属 市民総合医療センター)
要旨
リハビリテーション(リハ)栄養とは、栄養状態も含めて国際生活機能分類(ICF)で評価を行ったうえで、障害者や高齢者の機能、活動、参加といった生活機能を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである。低栄養や過栄養は機能障害の1つであり、他の機能障害や活動、参加に大きく影響する。リハ栄養評価のポイントは、栄養状態・サルコペニア・嚥下機能の有無と原因の評価、栄養状態の予後予測、機能改善目的の機能訓練可否の判断である。
在宅医療を要する障害者や高齢者には、サルコペニアを認めることが多い。サルコペニアは、寝たきりや嚥下障害の主な原因の1つである。サルコペニアの原因は加齢、活動(廃用)、栄養(飢餓)、疾患(侵襲、悪液質、原疾患)に分類される。2職種以上でサルコペニアの原因を考えることが望ましい。急性期病院で活動と栄養による医原性サルコペニアが作られやすいため、在宅ではサルコペニア改善を目指した攻めのリハ栄養管理が求められる。
講演3
- 『紙とペンできる認知症診療術~笑顔の在宅生活を支える実践医療~』
- 山口 晴保先生(群馬大学 名誉教授 / 認知症介護研究・研修東京センター センター長)
要旨
認知症医療のアウトカムは、「認知症の人と家族が笑顔で在宅生活を継続すること」と考えます。認知機能が徐々に低下し、生活障害が進行しますが、適切な医療やリハ・ケアで、穏やかな在宅生活を継続することが可能です。
- エビデンス偏重の医療の弊害:エビデンスは平均値です。例えばドネペジルは統計学的に有効性が認められた5mgが常用量です。しかし、ある患者は3mgが適量で5mgでは効き過ぎ症状が出ます。一人ひとりの症状を把握し、適量を見つけることが大切です。
- 生活状況からの認知症診断:認知症の診断には認知症初期症状11項目質問票(SED-11Q)で生活状況を把握します。
- 画像ではなく症状から病型診断:認知症の病型は、臨床症状から判別します。そのための介護者記入質問票DDQ-43を紹介します。一目見ただけで、どんなタイプの認知症か予測がつきます。
このような、日常診療に役立つ実践医療のノウハウを伝えられたら嬉しいです。
講演4
- 『プライマリ・ケアで求められる在宅緩和ケア』
- 浜野 淳先生(筑波大学医学医療系)
要旨
生命を脅かす疾患を持つ患者・家族への緩和ケアの提供は重要と認識されているものの,十分に応えられていない可能性が我が国だけでなく、国際的にも指摘されている。また、国際的な調査で、緩和ケアが必要な疾患は、心疾患、がん、慢性呼吸器疾患などとされている。このような状況において、プライマリ・ケアで求められる在宅緩和ケアとは、具体的には、どのようなことであろうか?
近年、プライマリ・ケアで求められる緩和ケアについて、“Primary Palliative Care”という概念が国際的に提唱され、多死時代を迎える日本のプライマリ・ケアの方向性を考える上で1つの指針になると考えられる。
我が国や諸外国の知見や取り組みを紹介しながら、我々の地域のプライマリ・ケアで求められる在宅緩和ケアについて考えていきたい。
講演5
- 『神経難病と在宅看護』
- 牛久保 美津子先生(群馬大学大学院保健学研究科 看護学講座)
要旨
運命のいたずらか、人は人生の中でいろいろな苦悩に遭遇する。病気もその一つ。しかし、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、難病中の難病ともいわれ、複雑多様な問題をかかえる病気である。難病療養者の苦悩は計り知れない。病状進行を特徴とし、治療法がない。できていたことが次々と奪われていく喪失体験、明日はおきあがれるのだろうか、私に明日はやってくるのだろうかという思い。胃瘻は造った方がいいのか、人工呼吸器は装着した方がいいのか、しない方がいいのか、どこで療養したらいいのか、自宅か施設か、揺れ動く思い。支援する側も苦しい。だからこそ、難病ケアは、緩和ケアそのものといえる。しかし、少しでも動くところを発掘し、自分でやれるようにするという自立支援の考え方は重要である。それが自尊心を高めることにもなる。難病療養者と家族の思いに寄り添い、少しでも安心でき、自分らしい日々が過ごせるための支援とは何かを考えたい。
講演6
- 『プライマリ・ケア医のための骨粗鬆症治療』
- 大澤 稔先生(東北大学 産婦人科・漢方内科)
要旨
骨粗鬆症はわが国において推定1,280万人の患者数を有する長寿社会が招いた国民病といえます。そんなありふれた病態なだけに骨代謝を専門とされる先生はもちろんですが、それ以上にプライマリ・ケア医の関わりが必要不可欠です。
かつては骨粗鬆症に対して「“老化現象”だから仕方がない」「骨折したら考えればいい」といった後ろ向き姿勢があったことも事実です。その結果現在の医療費の圧迫、患者QOLの低下を招いて来たとも言えるでしょう。そんな暗い過去から一転、現在では骨粗鬆症は単なる老化現象ではなく歴とした“骨の疾病”と捉え、積極的な治療介入が求められる様になりました。そのニーズに応えるべく「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」も2015年版が発行され、数多くの治療薬の適正配分が提唱されています。
本講演では種類の多い骨粗鬆症治療薬の個々の特徴をまとめつつ、プライマリ・ケアで活かせる具体的処方を考えてみたいと思っています。
ワークショップ
ワークショップ1
- 『共に考えるポリファーマシー 〜処方を通した対話の向こうに〜』
- 矢吹 拓先生(栃木医療センター)
山本 祐先生(自治医科大学総合診療科)
青島 周一先生(中野病院)
八田 重雄先生(多摩ファミリークリニック)
要旨
「ポリファーマシー」という言葉が医療現場の中で少しずつ広まってきているのを実感しています。急速に高齢化が進む中、多くの医師・薬剤師を含めた医療従事者にとって取り組むべき課題のひとつと考えています。一方、昨今マスメディアや一部の医師などの過剰な薬に対する拒否反応を垣間見るに、プロフェッショナルとして我々がどのようにこの問題を取り扱っていくべきかも合わせて考える必要があると思わされています。この問題に、既にある程度取り組んでいる方も、今回初めて考えてみたいという方も、多職種で一緒に考え学ぶ80分にしたいと思います。当日は症例を通したグループディスカッションと疑義照会ロールプレイを中心に、皆様と一緒に学ぶことができれば幸いです。多くの方のご参加をお待ちしております。
ワークショップ2
- 『介護福祉の超基本!「主治医意見書」・「退院カンファレンス」』
- 堀越 健先生、大橋 博樹先生、高木 暢先生(多摩ファミリークリニック)
要旨
「肺炎で入院していたAさん、ADLは落ちたけど自宅退院が目標です。区変をかけたんだけどまだ認定おりないし自宅の準備もまだだから一度ショートを挟んで自宅に戻ることになりそうです」「癌でターミナルのBさん訪看始まるんだけど、訪問診療の日程を決めないといけないから看護が医療で入るか介護で入るか確認しておいてくれる?」「CさんのADLだと意見書をちゃんと書かないと要支援にされかねないから気をつけてね、認知症はないから不安定で介護を取りにいかないとね」
日常診療にあふれる介護にまつわるやりとり、これが何を意味しているのかわかりましたか?いつも自分の元に送られてくる主治医意見書を本当に有効活用できているでしょうか?講義形式を中心に明日から使える介護福祉の知識を身につけ、それぞれの地域で多職種連携の助けにしていただくことが目的です!今回は「主治医意見書」と「退院カンファレンス」をテーマに話を進めていきます。「介護福祉が絡むとちょっと自信がない!」という医師が主なターゲットですが、もちろん他職種の方も大歓迎です!多職種で同じテーブルにつけるよう知識の整理をしていきましょう!
ワークショップ3
- 『地域での褥瘡対策についてみんなで考えよう』
- 菅野 圭一先生(渋川国民健康保険あかぎ診療所)
要旨
褥瘡発生や創傷治癒のメカニズムに関するエビデンスの集積に伴い、20年前に比べ褥瘡予防・治療は大きく変貌を遂げてきている。昔からまことしやかに言われていた、「ドライヤーで褥瘡を乾かす」は、今では笑い話でしか語られないだろう。しかし、病院(急性期と慢性期)、施設(介護保険施設や老人ホーム)、そして在宅では、そのリソースやマンパワーの違いから、褥瘡対策に大きな違いが出ることは避けられない。そしてその違いをお互い認識しにくいため、地域での連携(在宅・施設から入院、入院から在宅・施設、そして多職種間など)で躓きになってしまうこともあるのが現状である。今回、褥瘡の症例をスモールグループワークで検討することで、そういった違いについて改めてディスカッションを行い、地域での褥瘡対策について、皆さんで考えてみたいと思う。
ワークショップ4
- 『実践!アドバンス・ケア・プランニング』
- 平 洋先生(群馬家庭医療学センター)
要旨
【開催の目的】
アドバンス・ ケア・ プランニング(ACP)の意義や人生の最終段階における意思決定支援について、レクチャーとロールプレイを交えて、理解を深め、医療・介護現場において、ACPを実践するヒントを得る。
【概要】
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・ケア・療養について本人・家族、医療者があらかじめ話し合う“プロセス”です。人生の最終段階において、どのような医療を受け、誰から介護を受け、どこの場で過ごすのか、といった話題に関し、本当の気持ちを探ることが、その人の人生観・価値観を尊重した医療・介護の実践となります。本ワークショップは、意思決定プロセスの基礎やACPに関して、事例をもとに学びます。また、日々の診療や日常的なケアの中でACPを実践する方法や、多職種で意思決定を支えるためにできることを、皆さんと一緒に考える機会となることを目指します。
ワークショップ5
- 『Enjoy♪在宅医療 初めての在宅医療入門編~在宅医療経営のコツ~』
- 遠井 敬大先生(埼玉医科大学総合医療センター)
医療経営コミュニティ TSUKINO WA KAI
要旨
今後超高齢化社会を迎えるにあたり、在宅医療の充実は大きな課題の1つである。今後若い世代を中心に地域医療に従事するプライマリ・ケア医にとって在宅医療は必須となると考えられる。しかし在宅医療を行う上でそのシステムの複雑さは理解するのが困難であり、導入を躊躇する理由の1つになりうる。
今回のセッションでは在宅医療を行う上で在宅療養継続の要となるサービスである訪問看護に関する内容を中心に解説する。そして様々な視点から在宅医療を考えることで、その魅力を再発見し在宅医療参入へのハードルを少しでも下げることを目標とする
ワークショップ6
- 『認知症の人の在宅生活支援 ~認知症初期集中支援チーム~』
- 山口 智晴先生(群馬医療福祉大学 リハビリテーション学部)
要旨
我々は平成25年のモデル事業より、群馬県前橋市にて認知症初期集中支援チームを運営してきた。本チームは複数の職種で構成される認知症の専門家が、短期間で集中的に、認知症またはその疑いがある対象者やその家族を訪問支援する地域支援事業である。我々は、適切な医療や介護資源への結びつけ、認知症に対する正しい理解の促進、認知機能の低下によって生じる社会生活上の困難(困りごと)への対応など、今まで150例以上に関わってきた。当日のシンポジウムでは、これらの活動実績について紹介させていただくとともに、わが国の認知症施策である新オレンジプランが目指す「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」に向けての課題について考えてみたい。
シンポジウム
『多職種協働のために必要なコンピテンシーとは
-若手医師・若手スタッフへのメッセージ-』
- 『本人のベストインタレストを追求するとは』
- 堀田 聡子先生(国際医療福祉大学大学院)
- 『どうせ自分じゃ何もできないんだから』
- 古屋 聡先生(山梨市立牧丘病院)
要旨
例えば、在宅ケアにおける摂食嚥下障害患者に対する食支援の場合など、医師ができる部分はものすごく少ない。医師はしばしば、直接食事の支度をすることや、食介助することが別に得意ではないからである。また、ひとりの患者に、長時間関わっていることが困難だからである。
在宅での食支援のためには、
- 評価をして方向性を決める人
- それにしたがって、食形態や食事内容を考える人
- 患者本人の治療(歯科を想定)、訓練に携わる人
- ケア(口腔ケア含む)をしたり、食事を用意したりする人
- 実際に食介助を行う人
- 上記をプラニングする人
- 上記全体にいい悪いと口をさしはさむ人
つまり医師の役割は上記の7)である。
もうちょっといい仕事をしてせいぜい1)と2)の一部である。
しかもひとりの患者に振り向けられる時間は圧倒的に少ない。
したがってわれわれに求められているのは、「本人・ご家族」の話や思いをよく聞いて、本人の状態をよく見て、実際の現場がうまくまわっているか考えることである。
そしてそのなかでたいへん重要なことは「本人・ご家族・他職種」の『邪魔をしないこと』である。
- 『多職種協働のコツとは~在宅医療に必要なつながりを求めて』
- 山田 圭子先生(前橋市地域包括支援センター西部)
要旨
2025年に向けて、地域包括ケアの実現には在宅医療の充実が欠かせず、それらの仕掛けとして「多職種連携」があり、「多職種連携」を行うには「多職種協働」が前提と考える。
これは単なる「言葉の羅列」で、多職種連携や多職種協働、さらには在宅医療という同じ言葉を使うだけで、実践が伴っているように錯覚する。
また、医療では「チーム医療」「チームケア」という言葉も聞かれるが、「チーム」の構成メンバーはだれなのか、病院という小さな空間だけで捉えているのではないだろうか。病院は生活の場ではなく、日々の暮らしが「疾病により寸断された」状態を改善し、今までの暮らしに戻すことが役割と考えるならば、チームメンバーは、地域も含めた多職種でなくてはならない。医療職からすると、不可解な「福祉」の立場から、多職種協働の秘訣を伝える。
- 『学生・若手スタッフ教育における多職種協働教育の実践』
- 三浦 太郎先生(富山大学医学部 富山プライマリ・ケア講座)
要旨
医師含め医療福祉の専門職は、何れの職場においても他の職種との協働は日常においてよく経験している。多職種連携に焦点を当てた教育は、必要性が論じられ卒前教育では取り入れられつつある一方、卒後に関しては機会が少ない現状がある。
富山県では、県内6医療福祉系学校と協働して多職種連携教育プロジェクト「とやまいぴー」を2014年度より開催している。今年度は午前中に多職種で必要となるスキルを共に学び、午後に多職種のチームで症例を検討するという内容となっている。開始当初は、様々な当初の参加者は学生中心であったが、専攻医を含めた実務者の参加も徐々に多くなってきている。学生間では職種間のヒエラルキーが存在しないため、よりフラットな関係での議論が行うことが出来ており、それが参加実務者にも良い影響を与えているように感じる。
当日は「とやまいぴー」の経験から、今後の若手医師・スタッフに対する多職種連携教育について論じられればと考えている。
若手企画ワークショップ
『ポートフォリオのトリセツ 〜作成から指導まで〜 』
- 藤沼 康樹先生(家庭医療学開発センター センター長)
松村 真司先生(松村医院)
大塚 貴博先生(明戸大塚医院)
企画代表 内山 直樹(桜新町アーバンクリニック在宅医療部)
メンバー:
島 直子 (CFMD)
久保田 希 (KFCT)
原嶋 渉 (川崎市立井田病院)
サポートメンバー:
濱井 彩乃 (安房地域医療センター、KFCT)
鋪野 紀好(千葉大学総合診療科)
杉谷 真季(桜新町アーバンクリニック)
本ワークショップは関東甲信越ブロックの若手医師グループ企画です。
家庭医療専門医を受験するにあたり避けて通れないのがポートフォリオ。
多くのプログラムの専攻医・指導医の先生方は“何となく手探りのまま”ポートフォリオを作成したり指導したりしているのが現状ではないでしょうか?
そのような現状に対して、今回のワークショップでは、以下の3つのセッションを行います。
- ここが知りたい!ポートフォリオ
藤沼康樹先生(CFMD)によるポートフォリオ概論講義です。
講義の内容は、関東甲信越の各プログラムよりアンケートにて集計した “書きづらい” ポートフォリオの領域の上位2領域(予定)とし、それぞれの領域に関しての書き方のポイントをお話いただきます。 - ポートフォリオの指導を実際に受けてみよう
受講者(希望制)が事前に準備したポートフォリオ(領域の指定はありません)を持参いただき、藤沼康樹先生・ 松村真司先生をはじめとした指導経験豊かな指導医講師の先生方と2-3人ずつのスモールグループで実際にポートフォリオ作成指導を受け、良いポートフォリオとは何なのかということを学ぶことができます。
ポートフォリオに興味のある学生さんや指導医の先生の見学も積極的に受け入れますので、実際にどのようにポートフォリオ作成への指導が行われるのかを周りから見ていただくことができます(もちろん参加いただくことも可能です)。
ワークショップ終了後には、あなたもきっと楽しくポートフォリオを作れるヒントを見つけられているはず! - 関東甲信越ブロックしゃべり場
本ワークショップの最後には、交流企画を設けております。
せっかく関東甲信越ブロックの地方会に来たのだから、 近くで医療に携わっている同志に是非会いたい!友達・ 繋がりをつくりたい!ポートフォリオのもやもやを共有したい!‥などなど。
是非奮ってご参加ください。
ランチョンセミナー
『在宅医療に向けた栄養支援~地域における栄養サポートチーム構築を目指して~』
- 橋場 弘武先生(老年病研究所附属病院 薬剤部)
要旨
平成17年9月より、日本静脈経腸栄養学会による栄養サポートチーム(以下NST)稼働施設の認定が始まり、現在は全国約1200以上の施設が認定された。この10年間、病院において、多職種協働による栄養支援体制が整備されてきた。今後、脳血管疾患、認知症、神経難病等による摂食嚥下障害を有する患者さんが施設・在宅で生活するケースがさらに増加することが予測される。病院―施設―在宅までのシームレスな連携体制、すなわち病院から施設・在宅まで継続的に栄養支援する地域NSTの構築が急務と考えます。群馬県ではぐんま栄養療法ネットワーク、群馬NST研究会、群馬NST専門療法士会等の活動を通して、地域NSTの構築をすすめている。本セミナーにおいて、病院NSTから地域NSTの現状と今後の展望について、私見も交え述べたいと思う。
『地域といっしょに。あなたのために。』
- 田中 志子先生(内田病院 理事長)
要旨
これまで長きにわたり、認知症の人への医療やケアに取り組む中で、見えてきたことがあります。認知症のケアを必要とするのは、病院や施設にとどまらないということです。
認知症を抱える「人」が生活する場は、治療が終われば、住み慣れた「地域」です。地域全体が認知症という疾患に対する理解を深め、認知症の人への偏見をなくし認知症になっても地域でその人の望む暮らしができることが、私たちが目指す認知症ケアのゴールなのだと思います。
そのために私たちのグループは、「地域といっしょに。あなたのために。」という理念の下、認知症の人が、持っている力を引き出して、地域社会の様々な活動の場でその人らしさと底力と笑顔を発揮できるよう、様々な活動を行っています。とはいえ、まだまだ道半ばで課題も多いことが現実です。少子高齢化も含めて様々な課題をどう乗り越えていけばいいのか、私たちのさらなる取り組みを皆さんと一緒に考えたいと思います。
『高齢者診療に役立つ漢方処方』
- 佐藤 真人先生(群馬大学 総合診療部)
要旨
超高齢社会を迎え,地域医療において高齢者診療の占める比重が非常に高くなっている.このような現状において,高齢患者に対する漢方薬の有用性を示す治験も多く得られている.本稿では高齢者に多く見られる疾患として腰痛・認知症・誤嚥性肺炎などにおける我々の治験例を提示し,高齢者診療の現場における漢方処方について概説する.
加齢とともに腰痛,冷えなどが増加するが,これらの症状には八味地黄丸,牛車腎気丸などが多く用いられる.これらの方剤は腰痛・冷えに限らず白内障など老化に関連する疾患に広く用いられる.また高齢者診療において重要な認知症対策において周辺症状の改善効果が報告されている抑肝散,抑肝散加陳皮半夏について使用経験を交えて概説する.さらに高齢者では誤嚥性肺炎が問題となっているが,誤嚥の予防としての半夏厚朴湯および肺炎後の回復期における人参養栄湯の治験例を報告し,誤嚥性肺炎の対策における漢方治療の役割を考察する.