会長挨拶
2021年2月19日より群馬県高崎市にございますGメッセ群馬を拠点として、第22回日本病院総合診療医学会を開催させて頂く運びとなりました。
この度の総会でのテーマは「地域医療で育む病院総合診療」とさせて頂いております。臨床医はすべからく、地域医療の経験を経て医師として成熟して参ります。その現場には、患者利益に還元しうる知識、技能のみではなく、医療の有する公益性の理解、そして医師人格涵養に求められる全ての要素が、地域社会が要請するニードとして存在し続けるからだと考えております。現在先進国にみられる患者を中心とした全人的医療の実践にあっては、チーム医療により現出されているように、多岐におよぶ診療価値を捻出することが可能な全医療者を擁した地域・病院システムの構築、そして何よりも医療の行使を患者利益へと結実させるための、患者・医療者の相互理解が必須でございます。とりわけ、最前線で患者診療にあたる総合診療医には、包括的かつ文脈的に医療や介護、福祉、保健などに介入していくことが求められており、地域社会に備わっている地域医療への参画と実践継続が、総合診療医プロフェッションと受け止められます。現在における病院総合診療医、そして近未来に求められる病院総合診療医、地域社会からのニーズと学術的到達点などを基に病院総合診療専門医創設に向けた取り組みも、諸関係団体と共に日本病院総合診療医学会において、現在加速度を増して進捗中であり、本総会と通してご参加される皆様方へ提示して参ります。
また、2019年12月に中国を発端とし、現在世界を席巻している新型コロナウイルス感染症などの新興感染症を含めまして、感染症診療におきましても総合診療医の役割は甚大であり、日本全国各地域におきまして今、この時をもちまして診療実践が繰り広げられているものと想像しております。100年に1度といった世界的かつ医学的事象であります新型コロナウイルス感染症に関しましても当学術総会におきまして、現場での診療報告から学術的知見の報告など、特集を組んで参ります。多くの医師の皆様の学会参加を、心よりお待ち申し上げております。
昨今の社会情勢そして近未来の予測などを参考に、学会にご参加される方々のご健康に留意し、この度の総会はオールリモートとして開催させて頂きます。ご理解賜りますよう、どうぞ宜しくお願い致します。
第22回日本病院総合診療医学会学術総会
会長 佐藤正通
国立病院機構高崎総合医療センター 総合診療科・内科 部長