プログラム見どころ
2023.5.23更新
「心にググっとぐんま」の群馬県は、最近テレビでもよく紹介され、注目されています。伊香保温泉や草津温泉など魅力ある数々の温泉、美しい山々、高山植物の自然はもちろん、鉱業、養蚕やこんにゃくなどの産業や産物、そして新島襄、内村鑑三などの人物も輩出しています。また、萩原朔太郎、土屋文明を代表とする詩人、文学の深い文化ももっています。医療・保健・福祉分野においては、ぐんま認知症アカデミー(2005年設立)が認知症ケアの発信拠点になっています。専門医や専門看護師など、高度専門職の教育なども活発に行われています。本学会の見どころは、エンドオブライフケアを軸に、認知症、難病などの非がん、がん、ACP、文化的な側面、専門的ケアの実演など、学会に足を運びたくなるプログラムをたくさんご用意いたしました。
コロナ等の状況で変更があること、プログラムによって「現地開催&ライブ配信のハイブリッド開催+オンデマンド配信」「現地開催のみ」「オンデマンド配信のみ」があることをご了承ください。
日本エンドオブライフケア学会
第6回学術集会プログラム企画委員
【☆】:現地開催&ライブ配信のハイブリッド開催+オンデマンド配信 【◎】:現地開催&ライブ配信のハイブリット開催のみ 【〇】:現地開催のみ
特別講演 【☆】
「認知症ポジティブ」
山口 晴保 認知症介護研究・研修東京センター |
脳科学者、リハビリテーション専門医、認知症専門医、元群馬大学保健学科教員の本講師は、いつもニコニコしながら、鋭いツッコミで人気の高い演者です。山口氏は、著書「認知症ポジティブ! -脳科学でひもとく笑顔の暮らしとケアのコツ-」の中で、ポジティブ心理学を認知症の理解やケアに取り入れ、認知症に対するネガティブなイメージをポジティブに転換できる!と、唱えています。認知症は「死にゆく病気」として認識されるようになりましたが、その人のエンドオブライフケアは捉え方や工夫次第でポジティブになります。認知症になっても最期までその人らしく生ききる、本人もケアする人たちも涙の中でも笑顔になれるヒントをご講演いただきます。
先生からの伝言『えぇ~、ホンマかいな‥‥という人、百聞は一見に如かず。是非ともリアル参加を』とのこと。
大会長講演 【☆】
「ありがとうといえるエンドオブライフケアーすべて統合したポジティブケアー」
内田 陽子 日本エンドオブライフケア学会 第6回学術集会長 (群馬大学大学院保健学研究科) |
人生の終焉は誰もが迎えることです。その過程は苦悩あり、苦痛あり、涙あり、大変なものがあります。しかし、そのなかでも人生を統合でき、時には笑顔、感謝の気持ちが芽生えます。エンドオブライフケアはその人の生きてきた最終章を飾る、統合したケアであり、年齢、性別、疾患など超えてすべての人に必要です。エンドオブライフケアのアウトカム評価の指標の一つに、「ありがとうといえる」があると考えています。エンドオブライフケアに関するアウトカム指標を紹介し、多様な生き方、死に対する知見を遭遇した人々への思い出、ケアの実践、振り返りをもとに、ケアのアウトカムを高めるケアについてお話します。昌賢学園前橋ホール・大ホールでの講演は、全身全霊をあげて皆様にお伝えしたいと考えています。
教育講演1 【☆】
「最期まで安心して過ごしていただくためのケア技法 ― ユマニチュード® ―」
本田 美和子 国立病院機構東京医療センター |
イヴ・ジネスト |
ユマニチュード®はフランスで開発され、わが国でも認知症の人に対するコミュニケーション技法としてテレビでも紹介されました。まるで魔法がかかったように認知症高齢者の方に笑顔が蘇るシーンは視聴者に感動をもたらしました。実はこのユマニチュード®、すべての人に対して行われる技法です。もちろん、エンドオブライフケアにおいても有用と考えます。ユマニチュード®を日本に導入し、学会を立ち上げられた本田氏の講演ではその理念、方法など、具体的な場面を提示しながら、私たちにもやさしさ、対象者の自律・自立を尊重するケアの神髄を伝えていただきます。また、最近取り組まれておられる人工知能を活用しての研究についてもご紹介いただく予定です。
ユマニチュード®創設者であるイヴ・ジネスト氏が当日、教育講演に本田氏とともにご登壇していただけることになりました。彼の生の実演は国・性別・言葉を超えて大切なメッセージを伝えます。こんな機会はめったにありません。ぜひ、ご来場ください。
シンポジウム1 【☆】
「認知症になっても最期まで地域で暮らす『ポジティブ・エンドオブライフケア』」
田中 志子 大誠会内田病院 |
大澤 誠 大井戸診療所 |
佐藤 文美 認定NPO法人じゃんけんぽん |
認知症になっても最期まで地域で暮らし、エンドオブライフケアを保証する。本人が望んでも、無理とあきらめている人は多いのが現実です。しかし、「できる」とポジティブ転換し、地道にかつ積極的に実現されている3人のシンポジストの方に、講演と討議をしていただきます。病院・診療所での診察から施設や自宅への往診、365日24時間行われるエンドオブライフケアの実践、意思決定支援、苦痛やスピリチュアルペインへの対応、グリーフケアなどについて理解を深め、認知症になっても質の高いケアを提供できる地域づくりを応援したいと考えています。
シンポジウム2 【☆】
「人生の終焉を迎える人にどうかかわるか」
岩城 典子 NPO法人マギーズ東京 |
杉浦 真 安城厚生病院 |
石井 美希 伊勢崎市民病院 |
第7回エンドオブライフセミナーでは「人生の終焉を迎える人にどう語りかけるか」について研修会を開催しました。
学会ではその続編として、さらに深く掘り下げていきたいと考えております。終末期を診ている医師、看護師、がん看護専門看護師の立場で、日々の関わりを振り返り、テーマについて明らかにしていきます。
市民公開講座1 【☆】
シンポジウム「文学・詩・対話からひもとくエンドオブライフケア」
萩原 朔美 前橋文学館長 |
足立智孝 亀田医療大学 |
岡田 麻里 香川県立保健医療大学 |
日本には、古代から和歌や俳句に託して、死生(観)を情感ゆたかに歌い、言葉にしてきた長い伝統があります。近代以降は、詩(いわゆる口語自由詩)の形で、様々な死別の哀惜・愛情・死生観についての詩作品が書かれ、広く市民にも親しまれてきました。この企画では、「文学・詩・対話からひもとくエンドオブライフケア」と題して、日本人が「ことば」を介して、病や死とどう向き合ってきたかを探りたいと思います。ご登壇者として、詩人の萩原朔太郎を祖父とし、映像作家・批評・前橋文学館館長として活躍される萩原朔美氏をはじめ、多分野の方々をお招きし、文学が人間の生と死について表現してきた軌跡について語っていただきます。
市民公開講座2 【☆】
「歴史をひもとく死生観-平安文化の雅な世界から-」
藤本 宗利 群馬大学名誉教授 |
日本の国文学者・教育者である藤本氏は、特に平安時代の文学、枕草子や源氏物語などを研究されています。この時代の平安文化の雅な世界に生きる人々は自由に瑞々しく生きており、自分の思いを季節の移り変わりいく自然とともに伝えています。もっと深く掘り下げると和歌に代わるべき価値観の誕生や特異な自然観照、人間洞察など、深い死生観が見えてきます。感性のきらめきを放つ清少納言の話題も交えて、現在社会の私たちへどう生きて、散っていくかを講演していただきます。昌賢学園まえばしホール・大ホールでの講演は平安装束してご登場していただき、雅の世界に誘います。
委員会企画講演:リレー講演1 【☆】
「非がんとがんの緩和ケア」
平原 佐斗司 東京ふれあい医療生協協同組合 研修・研究センター |
竹田 果南 緩和ケアいっぽ |
エンドオブライフケアを受ける人は非がん・がんの疾患を持っていることが多く、ケアを行う者は、その軌跡や症状の特徴、症状緩和のケア方法の理解が求められます。本講師はこれらの知見に精通し、日々、実践をされています。平原氏には「非がん」、竹田氏からは「がん」の緩和ケアについてご講演いただき、両者の相違を比較しながら、皆さんに学んでいただければと思います。
委員会企画講演:リレー講演2 【☆】
「ALSへの告知・エンドオブライフケア」
荻野 美恵子 国際医療福祉大学 |
牛久保 美津子 群馬大学大学院保健学研究科 |
難病を代表するALS。ALSは運動神経系が衰えていく疾患で進行すると呼吸もできなくなります。知覚神経は障害されないため視力や聴力は保たれています。エンドオブライフケアでは死への恐怖と様々な苦痛を本人だけにしないことが求められますが、大変難しいケアともいえます。荻野氏は最前線で医師として関わり、その姿はテレビで放映され、大反響をうみました。牛久保氏はALSに関するケアの研究を長期に渡り続けておられます。本講師2名のリレー講演、乞うご期待。
指定講演 【☆】
「歴史的世界を生きる個として-エンドオブライフケアの人間観-」
浅見 洋 西田幾多郎記念哲学館 |
「父母や他界された恩師たちを想い起こすたびに〈おかげさまで〉という言葉とともに、小さな者へと受け継がれたいのち〈息(い)の勢(ち)(霊(ち))〉が引き継いできた伝統と環境、体験と思索によって形づくられきた言葉を次世代に〈息継(生き継)〉いでいきたい。(浅見洋HPより)」。エンドオブライフケアの底に流れる人間観を見つめてみよう。
「腎不全患者のエンドオブライフケア」
岡 美智代 群馬大学大学院保健学研究科 |
腎代替療法の選択、腎代替療法の選択、透析療法の開始・見合わせなどの腎不全を取り巻く課題に加えて、腎不全末期の症状や苦痛の特徴、ケアする者にとっての重要なポイントについてご講演いただきます。
「がんの最新治療と予後」
佐谷 秀行 藤田医科大学がん医療研究センター |
わが国で死因第一位を占める悪性新生物(がん)の治療や予後について、最新情報をご講演いただきます。がんイコール死というイメージが変わる、がんから生きる力を学ぶことができる、力強い、かつ、柔軟な対応ができる知見が得られます。
「精神医療と臨床倫理・エンドオブライフケア」
井藤 佳恵 東京都健康長寿医療センター研究所 |
「判断能力が不十分」とされる人たちの医療上の意思決定に、私たちはどのように関わっていけるでしょうか。どのような関わりであれば、その人にとって意味あるものになるのでしょうか。 重い精神疾患をもつ人のエンドオブライフケアにおいて、疾患単位で人をみないこと、精神と身体の連関について考えることなど大切なことを、臨床倫理の視点からご講演いただきます。
実演企画 【〇】
「〇現地開催のみ」ですが資料はWEBで公開します。「スキン・エンドオブライフケア」
岡部 美保 在宅創傷スキンケアステーション |
岡部氏は在宅看護(訪問看護)に長く従事されていましたが、皮膚・排泄ケア認定看護師としての実績をいかし、現在、起業をされています。人は誕生時には産湯に浸かり、手を洗ったり、お風呂に入ったり、クリームを塗ったり、そして亡くなったときには湯灌を含むエンゼルケアまで、一生涯に渡ってスキンケアを必要とします。エンドオブライフにおけるスキンケアについて実演を示して皆様に伝授していただきます。
「口腔・エンドオブライフケア」
久保田 チエコ 明海大学 |
口から食べられる、食べられないにかかわらず、口腔ケアは必須のケアです。洗面所で自分では歯磨きができなくなった終焉の時期に入った方への口腔ケアは難しいですが、歯ブラシやスポンジブラシ等の使い方を含む技術を自ら作成されたビデオ提示とともに、実演を示して皆様に伝授していただきます。
口腔ケアグッズのご提供:アサヒグループ食品株式会社
「認知症の人の痛みのアセスメント」
高井 ゆかり 群馬県立県民健康科学大学 |
認知症になるとうまく言葉で痛みを訴えることが難しい場合があり、周囲の人が痛みの反応を的確に捉え、緩和ケアにつなげることが必要です。認知症の人の痛みの特徴、痛みの観察法など多数の研究業績をもとに実例を示して皆様に伝授していただきます。認知症の人の痛みの程度を評価するための尺度を用いて、参加者と痛みのアセスメントをする予定とのことです。
「リラクセーション法の体験」
柳 奈津子 群馬大学大学院保健学研究科 |
柳氏は群馬大学医学部附属病院でリラクセーション外来を実践している大学教員です。エンドオブライフケアを受ける人も行う人も緊張することが多いです。自分でできるリラクセーション法を体験し、心と身体の緊張を和らげリラックスした心地よさを感じてみましょう。
交流集会・意見交換の場 【〇】
「ACPファシリテートについて語ろう」
日本エンドオブライフケア学会ACP推進委員会
委員会ではACPファシリテートについて文献レビューを行い、研究を行ってきました。参加者との意見交換でわが国のACPファシリテートの構築や普及について考えていきます。
「エンドオブライフに関する研究を行う上での倫理的課題について考えてみましょう!」
日本エンドオブライフケア学会倫理委員会
エンドオブライフケアに関する研究をすすめていくうえで、考慮すべき倫理的課題について、適切な方法を皆さんと考えていきます。ぜひ、皆さん、身近な事例をもとに演題発表や論文投稿を目指してください。
モーニングセミナー【☆】
「ペリネイタル・ロス ~周産期に子どもを亡くした母親への母性看護の実践」
深澤友子 群馬大学大学院保健学研究科 |
「ペリネイタル・ロス」とは、周産期において流産や死産または新生児での死亡などで子どもをなくすことをいいます。おかあさんへのケアについて考えていきます。
ランチョンセミナー1 【☆】
「認知症の人のACPのプロセス」
共催:株式会社ライフシステム
伊東 美緒 群馬大学大学院保健学研究科 |
認知症の人の意思表現の特徴、それを引き出すコミュニケーション、そして意思の確認。認知症になる前からACPは必要ですが、認知症になってもACPは必要です。認知症になっても本人の意思を支援するためのACPについて考えていきます。
ランチョンセミナー2 【☆】
「包括的BPSDケアシステム®を活用したエンドオブライフケア」
共催:下田工業株式会社
内田 陽子 群馬大学大学院保健学研究科 |
田島 玲子 グループホームあかつき訪問看護ステーション |
認知症の行動・心理症状に対して包括的にアセスメント、ケア、評価を一体化した包括的BPSDケアシステム®のしくみ、活用例としてエンドオブライフケアの事例を紹介します。
専門看護師による講演と相談 【〇】
専門家相談企画1:「病院におけるエンドオブライフケア」
専門家相談企画2:「地域におけるエンドオブライフケア」
総括・代表:戸谷 幸佳 群馬県立県民健康科学大学 老人看護専門看護師 |
群馬県内外から病院・高齢者施設・訪問看護・地域包括支援センターなど様々な場でエンドオブライフケアを実践している専門看護師(CNS)が集合します。エンドオブライフケアの実践を紹介するとともに、専門看護師が参加者の相談に応じます。職種や立場に関係なく、参加者の皆さんが今抱えているモヤモヤをすっきりできる場にしたいと考えています。
[専門看護師とは]
複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた看護師です(日本看護協会)。老人看護・がん看護・慢性疾患看護・精神看護など14の分野があります。
専門家相談:「エンディングノートってどう書けばよいですか?」
前橋市医師会 おうちで療養相談センターまえばし
エンディングノート「私の人生ノート」をご提供いたします。そして、わかりやすく、ACPとノートの書き方についてご相談いたします。
[ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは]
もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組み(厚生労働省「ACP(人生会議)」)
日本循環器看護学会合同企画 【☆】
「心不全の治療のプロセスとエンドオブライフケア」
田中 旬 三井記念病院 |
堀川 由加里 東京都健康長寿医療センター |
超高齢社会において心不全で亡くなる人が増加しています。心不全の末期に至るまでの病態や症状の過程、末期における苦痛、そして必要な生活支援やスピリチュアルな面での支援を含むエンドオブライフケアについてご教授いただきます。
海外招聘講演【◎】
Advancing Palliative Nursing Care Education in Academia
Megan Pfitzinger Lippe, PhD, MSN, RN The University of Texas Health Science Center at San Antonio |
研究推進委員会企画【〇】
臨床と研究をつなぐ「ティーサロン」
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みなさんの臨床での研究の悩みを気軽に相談するティーサロンを開設します。どうぞ、気軽にお越しください。